第二十八段
原文
諒闇の年ばかり、あはれなることはあらじ。
倚廬(いろ)の御所のさまなど、板敷を下げ、葦の御簾をかけて、布の帽額(もかう)あらあらしく、御調度どもおろそかに、皆人の装束(さうぞく)・太刀・平緒(ひらを)まで、ことやうなるぞゆゆしき。
現代語訳(訳:きよしち - 2026-04-07)
天皇が崩御され、喪に服す諒闇(りょうあん)の年ほど、感慨深いものはない。
倚廬(いろ=喪に服す期間、次期天皇の準備のために設けられる簡素な建物)の御所の様子などは、床板を低くし、葦で作った御簾を掛け、布製の帽額(もこう)を粗く設え、調度品なども簡素にしている。参列するすべての人々の装束、太刀、平緒に至るまで、普段とは異なる喪中独特の姿であるのは、実に厳粛で重々しいものである。