第六十五段
原文
このごろの冠は、昔よりははるかに高くなりたるなり。古代の冠桶を持ちたる人は、はたを継ぎて、今用ゐるなり。
現代語訳(訳:きよしち - 2026-07-31)
近頃の冠(かんむり、成人男性が装束の際にかぶる被り物)は、昔よりもはるかに高くなっている。古い冠を入れる桶を持っている人は、その桶に端木(はぎ、桶の高さを継ぎ足すための木)を継ぎ足して、今の高さに合わせて使っているのである。
コメント
地位の高いコックの帽子の高さが上がっていくという笑い話を聞いたことがありますが、それと似たようなことが中世の日本でもあったのですね。冠を入れる桶の形を変えなければならないとは、兼好法師が書き留めておこうとしたのも理解できるほど滑稽です。