岩波書店:イワナの謎を追う
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「イワナの謎を追う」を読みました。
徹頭徹尾イワナの話かと思いきや、分類上そもそもイワナとはサケ科の中でのどんな魚なのか、どういう分け方があるのか、という話から始まって面白いです。
北海道のイワナは、赤い斑点が身体に現れるタイプと、白い斑点が身体に現れるタイプに分けられる。ではこのイワナ達は果たして同種なのか、別種なのか。一体なにが違うのか。なにが違えば別種なのか。 作者はこういった疑問から調査に乗り出し、ついには本業を辞めて北海道を舞台にフィールドワークを繰り広げるようになります。
サケ科全般に関して、彼らは魚類の中でも歴史の浅い(つまり最近進化した)種類であるとか、同じ河川の中で別のサケ科の魚がどのように住み分け、食い分け(どの種類がどの餌を優先的に食べているか)しているかなど、興味深い話題に満ちていました。
豊富なフィールドワークに支えられた内容で、読んでいると北海道の河川に連れていかれるようなリアリティで本当に楽しく読めました。
『空に風の音が鳴りはじめたかと思うと、雪原のあちこちで粉雪が舞い上がる。三月中旬の道東の原野は、どう見てもまだ冬の世界である。まき上がる雪の中にたたずむハンノキやヤチダモの木立ちは、冬枯れの枝を黒々とからめあったまま深い眠りの中に沈んでいて、いつ目覚めるものとも思われない。』
まるで小説かと思われるほど、素敵な文章だと思います。