第百六十四段

未訳

原文

世の人、あひ会ふ時、暫くも黙止することなし。必ず言葉あり。そのことを聞くに、多くは無益(むやく)の談なり。世間の浮説(ふせつ)、人の是非、自他のために、失多く得少なし。

これを語る時、互ひの心に、「無益のことなり」といふことを知らず。